土地や空家、中古マンションなど不動産を売却した後に確定申告は不要?
必要書類や利用できる特例なども解説します。
◆家を売却した後に確定申告が必要か否かが分からない。
◆確定申告に必要な書類や流れが分からない。
◆家を売却した後の確定申告をしないとどうなるのか
家を売却した場合に、確定申告が不要なケースは「譲渡所得が発生しなかったとき」と「譲渡所得に関する特例を利用しないとき」です。家を売却して、損失が出た場合は原則として確定申告は必要ありません。ただ、損失が発生した場合でも税金の特例などを利用する場合は、確定申告が必要になります。なお、家を売却した際に譲渡所得が発生したかどうかは、「売却の諸費用」項目を参照してください。
儲けの部分に課税されることになりますので、売ったときの金額ではない点に注意が必要です!
建物の減価償却費(建物が築50年など築古の家を売った場合の減価償却の計算の事)を計算するのは困難なため、建物付き不動産(築50年の中古一戸建てや新築で購入した築50年の中古マンション、文化住宅長屋など)を売却するケースの場合には不動産会社に相談して、税理士など適切な専門家を紹介してもらうと良いでしょう。50年前のバブル時に3500万円の土地を除いた建物価格が、売却時に、そのまま3500万円まるまる全額経費にはできませんという事。。
住まいの窓口近鉄難波カウンターでは提携先顧問税理士への申告手続きの依頼なども承っております。当社の決算申告も依頼している顧問税理士さんですので安心です。
確定申告が必要なケースは「譲渡所得が発生したとき」と「譲渡所得に関する特例を利用するとき」です。
確定申告が必要なケース
購入時より土地や物件の価格が値上がりし、売却によって利益が出た場合には譲渡所得税を納税する必要があり、確定申告をしなければなりません。また、譲渡所得に関する特例を利用する場合にも、確定申告が必要になります。
なお、譲渡所得の発生時期は売買契約成立時ではなく引渡し時です。たとえば、売買契約成立が2022年12月30日、引渡しが2023年4月15日だった場合、確定申告は2024年に行うことになります。農地法の許可・届出が必要な農地などは売買契約成立時を基準として翌年の確定申告で譲渡所得を申告できる例外もあります。
確定申告の期間
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日〜3月15日(※)です。
1月1日〜12月31日までに発生した所得を、翌年2月16〜3月15日に確定申告する必要があります。
家を売却して譲渡所得が発生した場合は、家を売却した年の翌年に確定申告をしなければなりません。また、確定申告期日内には申告だけでなく、譲渡所得税の納税も必要です。
確定申告時期終盤の税務署窓口などはかなり混雑するため、余裕を持って確定申告を行ったほうが良いでしょう。
決済引き渡し時期 | 確定申告時期 |
令和5年1月1日~令和5年12月31日 | 令和6年2月16日~3月15日 |
令和6年1月1日~令和6年12月31日 | 令和7年2月16日~3月15日 |
令和7年1月1日~令和7年12月31日 | 令和8年2月16日~3月15日 |
家を売却した後、確定申告することになった場合、多くの書類を準備する必要があります。
・確定申告書
・登記事項証明書
・売買契約書のコピー
・譲渡所得の内訳書(コレが一番やっかいです!事項で解説)
・譲渡のために直接要した費用の領収書
譲渡所得の内訳書とは、譲渡所得の収支の内訳を記載した書類です。譲渡所得の内訳書に譲渡価額や取得費用、譲渡費用を記載します。また、売却した家に関わる項目も多く記載しなければなりません。
たとえば、売却した家の所在地や土地の地目、いつお金を受取ったのかなどさまざまな項目に回答します。
家を売却した場合には、譲渡所得の内訳書に減価償却費まで計算・記入しなければなりません。
減価償却費の計算方法が分からない場合などは、税務署や税理士に相談しながら作成することも選択肢の1つです。譲渡所得の内訳書は譲渡所得税の納税金額の基準になるため、正確に記載するようにしましょう。現実とあまりにもかけ離れた内容で記載して提出すると、脱税とみなされる可能性もあるため注意が必要です。もし脱税とみなされれば過少申告加算税が課税されるケースや、あまりにも悪質と判断されると重加算税が課税される可能性もあります。
確定申告書にはAとBがあり、家を売却するときには確定申告書Bを利用します。確定申告書Bの第一表・第二表・第三表が対象です。
なお、確定申告書Aは、医療費控除や住宅ローン控除を利用するときに使用する書式です。確定申告書AとBを間違えないように注意しましょう。※参考:確定申告書B|国税庁
居住用財産を売却した場合の3,000万円控除の特例(マイホームを売ったときの特例)とは、自宅を売却して発生した譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。
詳しくは「売却の諸費用」項目を参照してください。
居住用財産を売却した場合の軽減税率(マイホームを売ったときの軽減税率の特例)とは、所有期間10年超えの自宅を売却した場合、譲渡所得税計算に使われる税率が引き下げられる特例です。
居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例
以下の要件を満たす必要があります。
・日本国内にある自宅を売却するか自宅とともに自宅の敷地を売却すること
・以前住んでいた自宅を売却するときには、退去した日から3年後の日の属する年の年末までに売却すること
・自宅を解体したときには、以下の3つの条件を満たすこと
(1)自宅を解体した土地の売買契約が解体してから1年以内に締結でき、かつ退去した日から3年後の日の属する年末までに売却すること
(2)自宅を解体してから売却するまでに土地を貸すなどしていないこと
(3)自宅を解体した日の属する年の1月1日現在で、自宅の敷地の所有期間が10年を超えていること
・自宅を売却した年に属する1月1日現在、建物も土地も所有期間10年を超えている
・自宅を売却した年とその年の前年・前々年にマイホームの買い換えなどの特例を利用していないこと(居住用3,000万円控除との併用は可能) など
長短区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 | 10年超所有軽減税率の特例 |
所有期間 | 短期譲渡所得 (5年未満) | 長期譲渡所得 (5年超) | 10年超え(そのほか条件あり) |
税率 | 30.63% | 15.315% | ①課税譲渡所得6,000万円以下の部分10.21% ②課税譲渡所得6,000万円超の部分15.315% |
家を売却した後に確定申告しないとどうなる?
万が一、確定申告が必要な場合に怠った場合は以下の措置がとられるおそれもあるので注意しましょう。
・税務署による調査を受ける
・罰金が課される
・追加で税金を支払う必要がある
確定申告を税理士に依頼した場合の費用相場は?
確定申告を税理士に依頼した場合の費用相場は、一般的に7万円〜8万円程度と言われています。ただし、費用は状況や税理士によって異なるので、費用相場を確認するためにも複数の税理士に見積もりを取ることをおすすめします。当社では提携先の税理士のご紹介も承っております。
確定申告していなかったら必ずばれる?
ばれます!
確定申告が必要にも関わらず、申告しなかった場合、原則明るみになると思ってよいでしょう。
なぜなら家の売却時は所有権移転登記が発生し、法務局に記録されるからです。また、その記録を税務署が確認するのは容易なため、確定申告していなくてもばれてしまいます。
売買された家の固定資産評価も調べられるため、譲渡所得が発生した売買かどうかも、税務署にとっては容易に把握できるので、隠さずに必ず確定申告しましょう。
短期譲渡所得(5年未満) | 例:課税譲渡所得:2,000万円 | 合 計 |
①所得税 | 2,000万円×30% | 600万円 |
②住民税 | 2,000万円×9% | 180万円 |
①所得税+②住民税 | (2,000万円×30%)+(2,000万円×9%) | 780万円 |
長期譲渡所得(5年以上) | 例:課税譲渡所得:2,000万円 | 合 計 |
①所得税 | 2,000万円×15% | 300万円 |
②住民税 | 2,000万円×5% | 100万円 |
①所得税+②住民税 | (2,000万円×15%)+(2,000万円×5%) | 400万円 |
不動産を売却した際、譲渡所得の特別控除を受けられる場合があります。対象であれば、大幅な減税が可能になりますので、必ず確認しておきましょう。代表的なものは以下の2つです。
① 3,000万円の特別控除
居住用不動産を売却した場合には、所有期間を問わず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除が受けられます。その場合、課税譲渡所得を求める計算式は以下のようになります。
この計算式で計算した結果、課税譲渡所得がマイナスになるようであれば譲渡所得税の支払いは発生しません。
なお、3,000万円の特別控除は住宅ローン控除との併用はできません
◇現在居住している住宅であること。もしくは、以前居住していた住宅の場合は、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。 |
◇住宅を解体した場合は、取り壊してから譲渡契約の締結日までの期間にその敷地を貸駐車場などその他の用途に使用していないこと。 |
◇売却した年の前年・前々年に以下の特例を受けていないこと ・居住用財産の3,000万円特別控除 ・特定居住用財産の買い換え、および交換の特例 ・居住用財産買い換えの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 ・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
◇売主と買主の関係が、親子や夫婦、親族、内縁関係でないこと。 |
※特例を受けるには、上記の条件を満たしている必要があります。
<適用外> 3,000万円の特別控除の適用除外 |
◇3,000万円の特別控除を受けることのみを目的として入居したと判断される住宅 |
◇新築の住宅を建築する期間中に仮住まいとして入居したなど、一時的な目的で入居したと判断される住宅 |
◇別荘などの趣味・娯楽・保養を目的として所有する不動産 |
② 10年以上居住した不動産を売却した場合に受けられる軽減税率の特例
①・②どちらの特例もマイホームの売却が対象です。また、これらの特例を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
詳しくはお問い合わせください。
◇居住用不動産を売却した場合に、売却した年の1月1日の時点で土地・建物の所有期間がともに10年を超過していた場合にのみ受けられる特例です。 対象物件だった場合、長期譲渡所得よりも低い税率が適用されます。 ①の3,000万円の特別控除の特例と併用することが可能です。 |
税金・諸費用の支払い時期
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